厚田村は日本海に沿って国道231号があります。他に道道11号もありますが山道になるので、やはり海が見えるコースが私は好きです。
前号で松山善三の「厚田村」を紹介したので、司馬遼太郎の「街道を行く」も紹介をしておきたいと思います。

「街道を行くー北海道の諸道ー15」のその一節です。

厚田村へ

「札幌のホテルでは、松山善三・高峰秀子夫妻とも偶会した。このお二人も、厚田ゆきのバスに乗っている。そういうはめになっているのである。ー中略ー
松山氏の場合はすこし事情がちがっているかもしれない。氏にとって厚田村は曾遊(そうゆう・以前に訪れたことがある)の地であり、作品の舞台の地でもある。ー中略ー

道路は、石狩平野を北上して石狩町で海岸に出る。この国道231号線は、ふつう石狩街道とよばれている。まわりはまことに北海道らしい大平野である。しかし、農業や林業においては、見かけほどの利用価値はないらしい。

石狩町から道が山路になって、途中、山の勢いに海へ追い落とされるようにして、いったん海岸へ出る。そこが山口県団体40戸が入植した望来(もうらい)である。集落は望来川という細流の河口にある。ー中略ー

望来をすぎたあたりから山が急傾斜で海へ落ちこみ、その落ちこむ寸前が道路になっている。私どもは棚の上を走るような気配のまま厚田村の主邑(しゅゆう・むら)に入った」

この国道231号線を車で走ったことがある人は、この表現がよく分かると思います。夏になったら一度ドライブ方々走ってみてください。