二風谷ダム 2  ダム建設の背景

沙流川は日高支庁において鵡川と並ぶ規模の大きい一級河川です。
流域は競走馬の産地として知られる旧門別町(現ひだか町)などがあり、古くから競走馬が生産されてきました。
しかし、ほとんど河川改修が行われない手付かずの原始河川であり、上流域は急峻な日高山脈であることもあって一挙に洪水が下流域に押し寄せ、水害の常襲地帯となっていました。
競走馬の生産も活発になっていたことから莫大な資産を保護するための治水対策、農地も拡大し、これに伴う農業用水の灌漑設備は乏しく、安定した供給も必要になっていました。

さらに大きな課題として、高度経済成長期に苫小牧市や室蘭市といった道南地域の工業地帯が拡張され、北海道経済の伸長に弾みが付いていました。
こうした背景があって電力と工業用水道の確保が次第に求められていきました。

二風谷ダム(にぶたにダム)は紗流郡平取町、一級河川・紗流川本流中流部に建設されたダムです。

国土交通省北海道開発局室蘭開発建設部が管理する特定多目的ダムで、型式は重力式コンクリートダム、高さは32.0m。

沙流川の治水と日高地域への利水を目的に建設されたのですが、建設に際し水没予定地に住むアイヌ民族との軋轢がダム建設差し止め訴訟にまで発展、アイヌ民族の先住性を問う契機となったダム事業として知られています。

ダム湖は二風谷湖(にぶたにこ)と呼ばれています。