札をぶっこまれた銀行

日本一高い飯の話は近所で評判になってな、「はんかくさいやつだよ。おれはそんなことせんぞ」と、みなが気をつけるようになった。

今度は、隣のおっちゃんがハッカの代金を受け取りに、町へ出かけた。
やっぱり、生まれて初めてたくさんの札束の山を手にして、どきどきしたけれど、
ーーおれはストーブでもやすようなはんかくさいことはせんぞーー
と、自分に言い聞かせながら馬に乗り町を通った。

町のにぎやかな通りには、ついこの前できた銀行ちゅう、りっぱな建物が目についた。隣のおっちゃんは、いつか誰かが話していたのを思い出した。
「使わない金があったら、銀行ちゅうとこの窓とぶっこみゃ、国さなくなるまで、いいあんばさ」とな。

そうだ、この札束ば家に置いて心配するより、銀行にぶつこめば安心だ。と思ってな、隣のおっちゃんは馬の背で胸はって、パッカパカと銀行のそばに近づいた。ちょうど窓があいていたので、おっちゃんは、

ーーははー、この窓から札をぶっこめばいいんだなーー

と思って、馬に乗ったまま腹まきから札束を取り出して次から次と投げ入れた。
中にいた銀行員はびっくりしたさ。

はじめうろうろしていて外へ出たのがちょっとおそかったんだな。誰がこんなことをしたかわからない。

ところで、隣のおっちんのほうは馬の背で胸はって、
ーー銀行ちゅうもんがあるのを知ってりゃ、ストーブでもやさなくてもすんだのに、物を知らんって、かわいそうなもくだーー

と思いながら、パツカパカと村に帰ったそうだ。