斜里しゃりウトロのオロッコ岩

斜里から、知床半島へ向かう途中に宇登呂うとろ部落がある。この港の沖に怪獣かいじゅうに似た岩ばかりの島があり、昔はこの島に、オロッコ族が住んでおった。

この島の附近を通ると、高い島の上から石や木を投げつけ、船を止め物を奪ったりして悪事を重ねていた。

これにアイヌは怒り、何度も攻め込もうとしたが、周囲が絶壁に近い島であり、地の利を利用した頑強がんきょうな砦から、石や岩を投げ返してくるので、いつもアイヌは敗退していた。

ある日、一策を案じた酋長が村人を集め、暗い夜、海岸に打ち寄せている海草を集め、その海草でくじらの形を作りあげ、その上に近くの川から捕ってきた魚をまき並べた。
夜が明け朝になると、鳥たちが魚を食べに集まり、大騒ぎをしながら飛びかった。
それを島の上から見つけたオロッコ族は、鯨がきた「それ、寄り鯨だ!」と口々に喚声かんせいをあげ島を駆け下り、船場へと走りかけたとき、岩かげに身をふせ隠れていたアイヌ達はオロッコを捕り囲み全滅させてしまった。

その後、誰いうことなくこの島を、オロッコ岩と呼ぶようになった。

更科源蔵 アイヌの伝説より

北海道の岬めぐり19(宇登呂崎)に、この伝説となっている記事があります。

「更科源蔵 アイヌの伝説より」は今回で終わります。
次は道南江差の「繁次郎」のとんちを紹介します。