羅臼町の市街地のはずれに森繁久彌のオホーツク老人が建つ「しおかぜ公園」があります。
この公園を更に進むとマッカウスの洞窟に自生するヒカリゴケがあります。北海道の天然記念物に指定されています。

この洞窟には江戸末期に松浦武四郎が泊まったところで碑があると何かに書いてありました。3年前に訪れた時には落石の可能性があるということで中まで入れず「碑」も「ひかりごけ」も見れませんでした。
ひかりごけは糸状に伸びた茎の部分にレンズ状の細胞が並んでおり、これが光を反射して美しいエメラルド色に輝くといいます。

「ひかりごけ事件」というのが終戦前の1944年5月にありました。
日本陸軍徴用船が難破し、真冬の知床岬に食料もない極限状態に置かれた船長が、仲間の船員の遺体を食べて生き延びたという事件です。
そもそも「ひかりごけ」とは、この事件を題材として1954年に小説にした武田泰淳が付けたことに由来しています。
小説を元に映画や歌劇、舞台(劇団四季)にもなり反響を得ました。
特に三国連太郎が二役で演じた「ひかりごけ」は羅臼の町に光を当てたようです。

しかし、難破船は事実ですが小説はうわさをもとに書かれており事実かどうかは定かではありません。小説となり船長が次々と殺害し食べたと話しが大きくなっていったようです。

羅臼という町は小さな港町ですが、遠くまで来たという実感を得ます。
マッカウスの洞窟が開放されたらもう一度訪れたいところです。