ハルニレの木  
 
ハルニレの漢字表記は春楡で春に花が咲くことからとされています。日本産ニレ科の落葉高木で、樹高は30メートル、直径は1メートルに達します。特に北海道のように北方が多く、これに対し、アキニレ(秋楡)は南方系で西日本に分布しています。

十勝の豊頃町は知らなくても、豊頃の「ハルニレの木」を見たことのある人は多いと思います。カメラマンの被写体として人気なのです。十勝川の河川敷に立つこの大木は、2本の木が一体化した珍しいもので推定樹齢は140年といいます。
十勝の開拓者たちは、大津から十勝川を渡っていく時に、このハルニレの木を眺めていたと思います。

明治30年に、豊頃に入植した「興復社」は、その後4年間で150戸に達し、報徳思想に裏打ちされた農民の生産活動は他の開拓地域に影響を与えることとなりました。二宮尊親の偉大さは、多くの農場が小作制を試みている中で、農民の独立を保証し、実現したことです。

十勝国に最初に入植した晩成社とは雲泥の差がありました。
報徳思想が生かされていれば、維新後の武士軍団や晩成社などの素人集団の苦労は軽減されたでしょう。
明治35年に陸別の斗萬(トマム)に入植した関寛斎では、更にあきらかになることが出てきます。

写真は、豊頃町のシンボルでもあるハルニレの木です