泥流地帯ー上富良野町
三浦綾子の「泥流地帯」は、大正15年5月24日の十勝岳大爆発を素材にし、人間の苦難と悲哀を描いています。
爆発は突然起こりました。溶岩は二方に分かれ、一方は美瑛市街方面へ、一方は富良野川の峡谷沿いに上富良野に達しました。わずか20分で火口から26㌔も走ったといいます。被災戸数460戸、被災者1500人。
「外は闇だった。星光一つ見えない。まるで墨をぬったような、真っ暗闇だ」と物語ははじまります。/新雪をかぶった十勝連峰が日に輝いている。その連峰の一ところに、やや黄がかった煙が、ぬけるように青空に立ち上っている。あのあたりに硫黄鉱山があるのだ」
「丈余の泥流が、釜の中の湯のように滾り、躍り、狂い、山裾の木を根こそぎ る。バリバリと音を立てて、木々が次々に濁流の中に落ち込んでいく。樹皮も枝も剥がし取られた何百何千の木が、とんぼ返りを打って上から流れてくる。/
一瞬に泥流は二丈三丈とせり上がって山合を埋め尽くす。家が流れる。馬が流れる。鶏が流れる。人が浮き沈む」
上富良野町の草分神社境内に、「泥流地帯」文学碑が昭和59年5月24日に建てられています。隣接して上富良野開拓記念館に、「十勝岳噴火資料展示ルーム」があります。
上富良野町の「土の館」には、十勝岳噴火を写した映像を観ることができます。