後期屯田の展開
 
写真は札幌にある永山武四郎の邸宅です。(保存されています)
 
開拓使の廃止後、太政官大書記官の金子堅太郎は伊藤博文の指示で北海道の実情調査を実施しました。その報告である「北海道三県巡視復命書」の中で、金子は屯田兵の拡大を提案します。

山縣有朋や井上馨も北海道を視察して屯田兵を重視すべきとの印象を得ていました。
永山武四郎本部長はロシアでコサック兵の制度を調べ、これを参考にして屯田兵拡大の具体策を立てます。帰国した永山が、明治21年（1888年）6月15日に、屯田兵本部長を兼ねつつ北海道庁長官に就任すると、屯田兵の改革・増設計画が急速に進みました。

明治22年（1889年）2月に、明治26年（1893年）までに20中隊を増設する計画が発表されました。

何度かの法令改正で、兵員の将来と権利を保障する制度が導入されます。

募集方法が変えられ、もはや士族出身者を積極採用することはなくなります。
屯田兵に与えられる土地は従来の1.5倍となり、ほかに共同利用の公有地が用意されます。
期間は現役3年、予備役4年、後備役13年の計20年、満40歳までに限られました。
 
兵村には、兵員から選挙で選ばれる兵村会が設けられます。
後期屯田では前期と異なり、札幌周辺から上川、空知へ重点が移されました。
過去の経験の蓄積、良好な土地選定、農民出身者が多かったことなど、好条件が重なり、後期屯田の経営は好成績を収めました。