有珠岳の噴火
むかし、十勝の部落にイモシタクルという名の男が住んでおった。
この男は、子供の時代から手癖が悪く、村人からは嫌われていた。
ある日、イモシタクルが病気になって突然死んでしまった。
しかし、世の中にいたときあまりにも悪い事ばかりしていたので、神様は、神の国(カムイモシリ)へ行くことは許さなかった。
行く先のなくなったイモシタクルは、自棄になって、どうせ嫌われるならもっと悪い事をしてやろうと、地上に舞い戻ると、悪事の限りをつくした。
これを知った神様は怒り、北海道中逃げ廻るイモシタクルを追いかけ、洞爺湖の虻田で追い詰めて、物凄い力で蹴飛ばした。イモシタクルは何処となく飛んでいってしまったが、その時の神様の力が、あまりにも強烈だったので、あたりは大地震のようにグラグラと揺れた。
そのはずみで有珠山は大爆発を起こしたということです。
更科源蔵 アイヌ伝説より