網走のグルメ

旅行に出かけると、地元のグルメが楽しみの一つです。

オホーツクといえば、ホタテカニです。地元のスーパーに行けば、安く買えると期待しました。(左の写真は網走ビール)

ところが、スーパーが中々見つかりません。地元の人に聞くと郊外にあるといいます。街中から小清水町に向かう国道のバイパスに商業施設が新しくできていました。この並びにスーパーが3店舗。
地元経営は1店舗で、2店は札幌の生協と札幌本社のラッキーです。札幌が本社となればチェーン店ですから品ぞろえは同じでがっかり。地元のお店に入ってみると、札幌のお店よりも繁盛していますが、目指すホタテとカニは普通のスーパーと同じでした。

それではと、新鮮な魚貝を目指して地元で人気の回転寿司に入ってみました。これも期待は大きく裏切られます。美味しいところは全部大都市の市場に出荷されているのでしょう。

しかし、「網走ちゃんぽん」に賭けることにしました。

2010年に始まった町おこしの網走B級グルメです。長崎の雲仙市との交流で作られたもので、市内に12店ほどメニューとして出していると聞いていました。
チラシを頼りに店に入ると、「うちはヤッテいません」の連続。
ようやく居酒屋で、作れるよというところを見つけて、店主に「作れる店が少ないようですが」と聞いてみると「作るのが面倒でやめる店が多いんです。道の駅ではやっているよ」とのことです。カウンター越しに見ていると、具材が盛りだくさんで、あらかじめ刻んで用意してありました。ところが、料理人が後から気が付き、具材を入れるといった具合で時間がかかります。これでは商売にならないと納得でした。

もう網走ではグルメはあきらめようと思っていたところ、キャンプ場で「1000円、貝の摑み取り」がありました。これが本当なら、ようやく網走の大きなホタテが食べられると参加。軍手を両手にはめて、イザ掴もうとすると「いや、片手でお願いします」とのこと。

そうだよねと5~6枚袋に入れると、「こちらの白貝もどうぞ」、「え、これもいいんですか」と、遠慮なく6枚いただきました。これで終わりかと思えば、所長が袋にホタテをどんどん入れ始めます。更に、「慣れていないでしょうから調理をしましょう」。
「白貝の酒蒸し」を作ってくれるのです。よほど食べさせたかったのでしょう。これは実に旨い!網走の漁師から調達してきたホタテや白貝は、スーパーでは見るのと違い1枚200~250円はするでしょう。オホーツクの貝は噴火湾と違い、大振りで食べ応えがあるのです。最後に、ようやく網走のグルメに有り付けました。

清里町

全国農村景観100選(特選20)の町

知床世界遺産を訪れる人たちは、オホーツクの海岸を走る国道244号から334号を通るので、内陸にある清里町の風景をゆっくり眺めることはありません。
しかし、否が応でも右手に「斜里岳」だけは見えてきます。日本百名山は北海道に9山ありますが、このうち知床半島に羅臼岳と斜里岳の2山があります。清里町は半島の付け根に位置し、この斜里岳から半島の先端知床岳まで7つの山々で連なっています。

清里町の由来は「清らかな里」の意で、小清水村と斜里町から分村した歴史を持っており一文字ずつもらって町名となりました。斜里岳(標高1,547m)の山頂は、斜里町と清里町の接点にあり、南部のすそ野は中標津町にも広がっています。平地の広がりは清里町で、大規模農作地帯として発展してきました。
雄大な農地には、国有防風林と家々を風雪から守るために植林した防風林が、幾何学的な模様を織りなし、畑と調和し美しい景観となっています。十勝平野と大きく異なるのは、どこから見ても斜里岳が聳えており、平成4年度の全国農村景観100選で特選の20選に選ばれています。町の主要作物であるじゃがいも、小麦などの穀物が四季折々の風景を作り出し、見る人に感動を与えています。

3年ほど前に、清里町役場に問い合わせて資料を送ってもらいました。その時に、斜里岳の絵を描きたいので、地元の人たちが選ぶビューポイントを教えてほしいと依頼しました。そうすると、事務局長が自ら推薦するポイントを地図に6カ所マークを入れて同封してくれました。
このポイントを訪れてみると町全域を回ることになりました。地元の人でなければ分からない道道から農道に入り斜里岳を間近に見られるところもありました。また、高台から平地を見下ろし斜里岳を背景に清里町が見られるところもありました。この地図のおかげで、100枚を超える斜里岳の写真を撮ることができました。

網走を起点とする「釧網線」は知床斜里駅から直角に右折し内陸に入っていきます。中斜里駅・南斜里駅を過ぎると、清里町に入り「清里駅」となります。
「札弦(さっつる)駅」「緑駅」と3駅あり、野上峠を越えると弟子屈町に入り「川湯温泉駅」に到着します。釧網線と並行して道道1115号が走っており、「緑駅」で鉄路から外れ中標津町方面に南下し「清里峠」が町の境です。

この峠の手前を右折すると「裏摩周展望台」。(上の写真)
観光バスで回る「霧の摩周湖」コースは、川湯温泉から近い「第一・第三展望台」からの眺めになります。

裏摩周は、丁度対角線の反対側からの摩周湖です。弟子屈町側の展望台よりも標高が低いため、湖面を良く見ることができます。

「阿寒摩周国立公園」が誕生

環境省の中央環境審議会が7月8日付の官報で、「阿寒国立公園」から「阿寒摩周国立公園」に名称変更すると発表がありました。この変更で、摩周湖の北に位置する清里町の南部周辺が国立公園に拡張されました。

裏摩周展望台だけでなく、この近くに清里町が観光に力を入れている「神の子池」があります。摩周湖の地下水によってできたと言われている青い清水を湛える池で、摩周湖(カムイトー=神の湖)の伏流水からできているという言い伝えで「神の子」池と呼ばれます。

摩周湖が他の湖と大きく違うのは、湖に流れ込む川も、湖から流れ出す川もないことです。
それでいて、春、摩周湖にたくさんの雪解け水が流れ込む時期になっても水位が変わらないのは、湖の周辺に伏流水を湧き出させているからです。神の子池の伏流水は1日12,000tも湧き出しているといいます。周囲220m、水深5mの小さな池ですが、水が澄んでいるので底までくっきりと見えます。水温が年間通して8℃と低く、倒木が青い水の中に腐らずに化石のように沈んでいるのが見えます。

美瑛町の「青い池」を見たことのある人は、「神の子池」は規模が小さいので物足りなく感じてしまうかもしれません。道道1115号を南下していくと、看板が出ており山林を入っていくと駐車場があります。観光バスも入っていけますが、すれ違う時には大変な場所です。