浜中町(花咲線)

 

浜中町は、地震の津波が最大30メートルと予測されている町です。

海に面した町ですが、内陸部は高台になっており、人口7,000人に対し、乳牛は2万頭の酪農王国です。夏も海の霧が入り込み、気温が低く、牧草の成長にとって厳しい環境でした。

しかし、乳牛にとって理想的な牧草が育つ土壌にするための研究と改良を行い、ハーゲンダッツのアイスクリームに使われる高品質な牛乳の産地となりました。ところが、地元ではなかなかこの牛乳は飲めません。羅臼でホッケを食べられないのと同じです。

昭和27年3月4日、浜中町(霧多布村)は十勝沖地震にともなう津波で深刻な被害を受けました。その復興のため、北海道大学医学部に医師の派遣を要請。白羽の矢が立った医師がドラマとなり「潮風の診療所岬のドクター奮戦記」は、2007年にフジテレビで放映されました。医師・道下俊一の半生を描いたもので、道下役は水谷豊でした。教授に説得され、一年の約束で霧多布村の釧路赤十字病院浜中診療所に赴任します。当時26歳、結婚したばかりで一年経てば札幌に戻って、親が楽しみにしている医院の開業を予定していました。最初はよそ者扱いで冷たかった霧多布の人々でしたが、窮地を救っていくうちに、村にはなくてはならない存在になっていきます。結局40数年となる実話のドラマとなりました。

今でも、根室半島は医師不足で産婦人科はなく、お産が近くなると釧路まで行かなければなりません。2006年の医療改革で大学の医局制度は変わり、道下のような話はなくなりました。新米の医学生が総合病院に高額で迎えられて手術を行う時代です。

この診療所で放射線技師の助手として働いていた青年がおりました。患者に和むポスターを描いていたところを、道下に「君は東京に出て勝負するべきだ」と説得されます。19歳で東京に出たのが、後のアニメ「ルパン三世」の原作者モンキー・パンチ(加藤一彦)でした。

平成24年から浜中町の町興しに一役買って、町も花咲線もルパン三世一色になっています。

エトピリカ

浜中町は、様々な花が咲き誇るラムサール条約の霧多布湿原をはじめ、岬など海岸線の景勝、広大な大地で豊かな漁業資源(昆布)にも恵まれています。地形は一部が海岸線から「江の島」のように一条の道が伸びて、半島が突き出した形をしています。

この半島の先端にある民宿に泊まったことがあります。宿主は地元の人ではなく、宿名「エトピリカ」と名乗るだけあって、この野鳥の宝庫に住み着いた旅人でした。

エトピリカとは、北太平洋北部とそれに隣接する海域だけに生息する貴重な鳥で、日本では霧多布以外では見ることができません。しかも日本では絶滅の危機に瀕しています。アイヌ語で“美しい嘴”という意味で浜中町の「町鳥」になっています。北方四島のビザなし交流の船名は「エトピリカ」と付けられています。

宿主は「ここは津波が来ても海抜30m以上あるので大丈夫です」と話してくれました。

1960年(昭和35年)のチリ地震津波では死者11名がでており、被災者の体験談をつくった紙芝居を霧多布高校の生徒会が作成し、霧多布小学校の児童に伝えているということです。

海岸線に住む人たちは、町役場がある半島内に移り住む人が多く、学校も移築したと最近ニュースで報道されていました。

ムツゴロウの無人島(嶮暮帰島)  

昭和46年(札幌の地下鉄南北線が開通した年)に道東の無人島に動物王国を作り住んだ人がいました。
島の名は「嶮暮帰島(けんぼっきとう)」、住所は北海道厚岸郡浜中町大字琵琶瀬村字嶮暮帰島6番地。住人は、畑正憲(はたまさのり・昭和10年福岡生まれ)でした。

霧多布アゼチの岬

手前に見えるのは小島、その奥が嶮暮帰島で外周は約4.5キロあります。さすがに一年で島をあきらめて中標津町に動物王国は移りました。
これらの島々は貴重な動植物の宝庫、エトピリカを始めとした、世界最小の動物といわれるトウキョウトガリネズミやコシジロウウミツバメの生息地です。自然のままの姿を残しており、現在浜中町において自然保全と利用の側面から島の立ち入り条件を定めています。

霧多布半島

霧多布半島は、標高40~60メートルのテーブル型になっており、太平洋の荒波に突き出ています。周辺には展望台やキャンプ場もあり、夏場は観光客が訪れるところです。

展望台からは、3キロ先にはアザラシのいる帆掛岩、浜中湾越しに奔幌戸、貰人の絶壁、海岸線等を臨むことができます。

半島の先端には「霧多布岬」と「アゼチの岬」の二つの岬があります。

浜中町の町花は「エゾカンゾウ」です。北海道で町花にエゾカンゾウを掲げているのは3町あります。

浜中町の他に、積丹半島神威岬の積丹町と利尻礼文国立公園サロベツ原野の豊富町です。

いずれも、7月中旬にはオレンジ色が咲き誇り、橙の絨毯を見ているようで楽しませてくれます。