大黒屋光太夫ー根室市

大黒屋光太夫を書いた代表的な小説に、井上靖『おろしや国酔夢譚』(おろしやこくすいむたん)があります。

この小説を原作として1992年の日本映画があります。ロシアの協力のもと大規模ロケを行い、大映(現:KADOKAWA)・電通製作、東宝配給により公開されました。

大黒屋光太夫 – 緒形拳 庄蔵 – 西田敏行 小市 – 川谷拓三 九右衛門 – 三谷昇

 

根室に上陸の場面です。

「翌九日、エカチェリーナ号は土民の曳船に曳かれて根室湾にはいり、無事に湾内に投錨した。根室湾と言っても別に陸地が深く湾入しているわけではなく、多少屈曲の多い海岸線からほど遠からぬところに弁天島という小島があり、それが自然の防波堤の役をして船泊りを作っているだけのことであった。」

幕末のころ、根室はいくつもの日本史に残る事件の舞台となっています。
天明5年(1785年)、老中・田村意次による蝦夷地探検がスタートし、山口鉄五郎が派遣され、最上徳内が続き択捉島に渡り、更に続いて多くの探検家が蝦夷に入りました。

寛政4年(1793年)、ロシア使節ラックスマンが伊勢の漂流民大黒屋光太夫らをともなって根室に来航し、交易を求めました。
彼らが帆船エカテリーナ号で上陸したのは冬が迫っていた9月のことでした。