明治5年<学問のすゝめ>福沢諭吉著書
明治5年2月の初編出版で、明治9年11月の17編を以って完成しました。
8年間で合計約70万冊が売れましたが、最終的には300万部以上売れたとされており、当時の日本人口が約3000万人でしたから10人に1人が読んだベストセラーでした。
「天ハ人ノ上ニ人ヲ造ラズ人ノ下ニ人ヲ造ラズト云ヘリ」
という一節は福沢諭吉の言葉ではなく、アメリカ合衆国の独立宣言から引用したものだそうです。
榎本武揚が五稜郭で降伏する前に、黒田清隆宛に贈った本があります。
黒田はこの洋書を福沢に翻訳を依頼しました。しかし、福沢はこの洋書は教科書なので学んだものでなければ翻訳できないと返しました。
という話が伝わっています。
「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らずと言われている。
人は生まれながら貴賎上下の差別ない。けれども今広くこの人間世界を見渡すと、賢い人愚かな人貧乏な人金持ちの人身分の高い人低い人とある。
その違いは何だろう?
それは甚だ明らかだ。賢人と愚人との別は学ぶと学ばざるとに由ってできるものなのだ。
人は生まれながらにして貴賎上下の別はないけれど、ただ学問を勤めて物事をよく知るものは貴人となり富人となり、無学なる者は貧人となり下人となるのだ。」