然別湖いかりべつこぬし

然別湖(鹿追町)

昔、この土地に住む狩人かりうど大熊おおぐまを見つけ追って行くと、熊は湖に飛び込んで泳いでいった。

仕方なく、ぼんやりと見ていると、湖の中ほどまで泳いでいった熊が、急にあばれたかと思うとブクブクと沈んでいたった。

不思議に思い舟を出して見に行くと、大きなイトウが大熊の片手を口から出して死んでおった。

イトウの大きさは六十メートルもあったという。
このイトウは然別湖の主であると古老ころうがつたえている。

更科源蔵 アイヌ伝説より