イザベラ・バードはイギリスの探検家として北海道でも知られている女性です。明治11年6月~9月にかけて、通訳を伴い東京を起点に日光から新潟へ抜け、日本海側から北海道に渡り日高の平取までを旅しました。
この時に福島県南会津の山あいにある大内宿に泊まります。会津藩主の参勤交代の道で、若松城(鶴ヶ城)下から5里(約20キロ)の宿場まちとして栄えました。戊辰戦争後、約50戸の集落は落ちぶれ半農の宿屋が軒を連ねた町並みだけが、うち捨てられたように残っていました。
バードの宿は、築300年の茅葺き・寄せ棟造りの屋敷で、代々、本陣も兼ねていた「福田家」でした。村の人たちは外人を始めて見るので、障子に群がり穴を開けて覗き込んだといいます。維新から11年、西欧文明など知るすべのない人々の生き様を観察し「日本奥地紀行」として残されています。
バードの泊まった福田家は「美濃屋」の屋号で土産物を商っており、屋敷内も見物できます。鮎の味は実に美味いといったところを写してくれた絵です。