菊水橋堤防から(上士別町) 

菊水橋堤防から(上士別町)  
油絵 F8号 455×380 2022年4月作成

この絵は士別市立博物館の常設コーナーに掲げてもらうことになりました。士別に行かれる機会がありましたら見てください。

19歳の時に描いた同じ場所で56年ぶりに描きました。この堤防を下りたところで昭和30年代には町の「ばん馬競争」を行っていたといいます。右にある農家の方が水を提供していたというのでのどかな時代です。馬は農作業には欠かすことができない家族の一員でした。
56年前に描いた絵は親友にあげたのですが、当時うまくいかずに描き残した印象を持っていました。昨年偶然この場所に立った時にそれを思い出しました。再挑戦の意味もあり、描き残しの攻略もできて完成しました。

初代の菊水橋が架けられたのは明治43年のことで、何度か水害で流されました。現在の橋が完成した三代目の落成式は盛大なもので私の記憶にもあります。親子三代の家族が選ばれて初渡りの儀式がありました。
市街地から橋を渡ると川南・成美・大和・南沢と続きますが、かつては原野を切り拓いた開拓者たちでした。橋が無い天塩川を渡った人たちには奈良の十津川村から移住した吉野団体がおりました。菊水橋の菊水とは、南北朝時代に後醍醐天皇を擁護して足利尊氏に敗れ十津川村へ逃亡した楠正勝の紋章のことです。北海道に移住した十津川人も楠正勝を偲んで菊水の名をつけたのでしょう。