ふるさとの朝(上士別町)

上士別の朝 (上士別町)
油絵 F8号 455×380 2022年5月作成

この絵は4年前に描いたものですが、改めて手を加えています。(元の絵はHPで見ることができます)
油絵は水彩画と違い絵具を塗り替えることができます。従って、絵が完成するということがありません。
本人が「まあ~、この辺でいいか」と思いサインを入れた時が完成ということになります。

ルオーの絵に「ピエロ」という作品がありますが、亡くなる寸前まで手を加えていました。これが油絵の本質なので、中々厄介な話です。

この絵は個展に出すために描きなおしてサインを入れました。どこが変わったのか微妙ですが、全面的に描きなおして新しい作品になりました。

若いころには意識しませんが歳を重ねるにしたがい、思い出すのが「ふるさと」です。私の町、今は広大な耕作地ですが開拓者が足を踏み入れた時は原始林でした。
120年前は森林が聳える上に狭い空が見えたのではと思います。最初の入植者は明治35年でした。明治37年には奈良の十津川村から吉野団体が2年にわたって大移動してきました。私の祖先は大正2年、十津川村から先人の伝手で子ども8名を連れて入植しました。樹木に遮られ電灯もなく日が上がれば開墾がはじまり、日が落ちれば寝床に入る毎日だったのでしょう。
入植者は五町歩を五年で開拓を終えると自分のものになりました。東京ドームよりも広い土地ですから夢は大きく膨らんだと思います。同じ場所で夕陽を描いた作品もあり、こちらも描きなおしています。