寿都町のほぼ中央を黒松内の森林地帯から流れる朱太川(しゅぶとがわ)が日本海の寿都湾に注ぎこみます。この河口から太平洋まで直線距離にすると、わずか25キロと北海道の地形では最短距離となります。
太平洋から吹き込む風は山脈に当たり、狭められ朱太川に沿って強風となり寿都湾に吹き込んできます。
これが名物の「だし風」で、ニシンの群来や北前船は沖に押し出されてしまうやっかいな風でした。

歌棄町の巌島神社には風をいさめる神様が祀られています。
「風凪さん」と言われ、手に持つ鎌で強風を切り、穏やかにするといわれました。昔、家々や浜では、寿都のシンボルタワー 風をおさめるおまじないとして、棒にくくりつけた鎌を立てていたそうです。
日本海にありながら、噴火湾(太平洋)から流れてくる風や雲に影響を受ける、特殊な場所といえます。

この悩みの種であった風を逆手にとって、平成元年に地方自治体で最初に風力発電所を作りました。寿都町に入ると「風車」が絶景ポイントに入ってきます。

旧寿都支庁

北海道は明治30年に支庁制度を導入しますが、明治43年に小樽支庁・岩内支庁と統合されるまで、12年間の短い期間ですが寿都支庁がありました。現在も裁判所など国の重要機関があるのはそのためです。
明治36年にはニシンの漁獲量は最盛期を迎えます。大正9年にはニシンの最盛期は過ぎていましたが、寿都から黒松内まで、わずか16.5キロに「寿都鉄道」が走ります。ニシン輸送が主で、獲れなくなった後は、寿都鉱山が閉山する昭和37年まで走っていました。
昭和20~21年に戦後の食糧難を救うかのように群来が続きましたが、その後とうとう群れの姿は消えてしまいます。

コウナゴの佃煮

寿都からニシンは消えましたが、ニシンの技術を生かして生まれたのが「コウナゴの佃煮」でした。
寿都は、かつての鰊に変わり「生炊きしらす」(生のコウナゴを炊いて佃煮にした、100年続く寿都名産)の佃煮が知られています。町には8軒の加工業者があり、味はそれぞれ工夫を凝らし、見た目も違いがわかります。
寿都の佃煮はスーパーに行くと「山下水産」が売られていますが元祖ではありません。道の駅「みなとま~れ寿都」では3パック480円で組み合わせを自由に選ぶことができます。
現在の漁業は沿岸の定置網ホッケ水揚げ日本一の町です。
そのためホッケを食材としたグルメに挑戦し、町興しに一役かっています。
それが「寿都ホッケめし」で、これを食べられる店が3軒あります。