広尾町は十勝平野の最南端で太平洋に面しています。
国道336号は日高地方の浦河町から釧路市までの総延長 : 251.2 kmあります。

襟裳岬

えりもから十勝に抜ける道は、江戸時代には松前から根室に向かう役人が必ず通らなければならない場所でした。

広尾町の十勝神社に「東蝦新道記」と刻まれた版木が現存しています。
幕臣である近藤重蔵の従者が刻んだ漢文で、これが北海道初の道路建設を示すものだといいます。

近藤重蔵は択捉に渡り「大日本恵登呂府」を立てたことで知られていますが、その帰路、広尾から日高に抜ける険しい海岸線に新道の開削を命じました。
アイヌ民族68名に賃金を支払い、十勝のルベシベツから日高の境ピタタヌンケまでの山間部を切り開きました。
その経緯を木版に刻み、十勝神社に奉納しました。

昭和の初期、日高山脈が海岸までせまり、広尾からえりも町庄野までの33.529㎞の開削を開始しました。竣工当時は日勝海岸道路。正式には地方費道帯広浦河線といいました。交通難所の場所で、黄金を敷き詰められるほど、建設に莫大な費用(総工費945 503円、1 mあたり28円20銭)を投じ、1927年(昭和2年)の着工から8年もの歳月を要して断崖を切り開く難工事の末に開通したことで「黄金道路」と呼ばれています。
昭和35年から、舗装化や覆道工事などの改築が進められ、舗装化だけでも1 kmあたり9億8000万円を要し、当時の一般的な国道の10倍近い費用がかかったといいます。

フンベの滝

黄金道路は「日本百名道」に選ばれており、百名道完走をめざすドライバーの憧れの道路です。

夏は昆布漁を見ることができ、サーフィンのスポットとしても有名です。
広尾橋からえりも方面へ車で5分程走るとフンベ地区に入ります。
ここに「フンベの滝」があります。

フンベとは、昔このあたりに鯨が打ちつけられたことからアイヌ語で「鯨の獲れる浜」という意味で名づけられました。
滝の流れは地下水が湧き出したものが、直接道路脇に落下している珍しい滝で夏は涼を呼び、冬は氷柱となって自然の造形が私たちの目を楽しませてくれます。