北海道に能舞台があることを知っている人は少ないと思います。
この能舞台の中に入らせてもらいました。
当たり前といえば、それまでですが舞台の端には遮るものがありません。
能の修業は、目を閉じて舞うことができなければ舞台に上がれるものではないといいます。

狩野派第十七代の狩野秉信

北海道における能楽は明治30年代に函館で始まり、やがて明治37年に小樽に誕生します。宗家派遣の指導者が小樽に本拠を置いたのが始まりでした。

佐渡ケ島出身の岡崎謙が10代で小樽に移住し、荒物雑貨商として出発、やがて縄・筵の卸問屋兼倉庫業者として成功し財を成しました。
大正15年に入船町の自宅の庭に建てたもので、再三中央から家元を招いて能楽会を開催したといいます。

昭和29年に小樽市に寄贈され、昭和36年公会堂隣接の現在地に移されました。
舞台の建材は本州産がほとんどで、檜の舞台をはじめ、要所に佐渡の神代杉も使われています。
舞台正面鏡板の老松、側面の若竹、橋がかりの奥の戸板に描かれた唐獅子などは、狩野派第十七代の狩野秉信(もちのぶ)が描いたものです。

近年、この能舞台を使っての演能が行われているようです。