五稜郭と箱館奉行所誕生の歴史

現在、函館五稜郭内に箱館五稜郭が復元されています。
しかし、当初は函館山の中腹にありました。

箱館奉行所は、現在の元町公園に置かれていた江戸幕府の役所でした。
今は、公園内に「箱館奉行所跡」の杭があるだけです。
安政元年(1854)の日米和親条約により、箱館と下田が開港されますが、この箱館を治めるために幕府が設置した「箱館奉行所」では、港湾から近く防備上不利であったことなどから、内陸の亀田の地に移すことになりました。

蘭学者の武田斐三郎(たけだ あやさぶろう)に新しい要塞の設計を命じます。「武田は緒方洪庵塾に入門し、洋学諸術を学び、ペリー艦隊が浦賀に来航した際には佐久間象山の門下にいました。様式軍学者として製鉄、造船、大砲、築城などに明るく、箱館開港後は箱館諸術調所の教授として活躍していました」

安政4年(1857)から五稜郭の築造が始まり、7年後の元治元年(1864)に役所建物などがほぼ完成。箱館山麓の奉行所が移転して五稜郭の中で業務が開始され、蝦夷地の統治や開拓、開港地箱館の諸外国との交渉など幕府の北方政策の拠点となりました。