函館山のふもと元町にレイモンハウス元町店があります。
ここはカール・レイモンの旧工場跡地に建てられたお店です。
 
カール・ワイデル・レイモンは、函館の名産品として有名なハム・ソーセージの創始者。「胃袋の宣教師」として知られた方です。(1894~1987年)
 
ドイツ・ボヘミア地方(現在のチェコスロバキア)の生まれ。
父がハム・ソーセージ作りの職人だった彼は、14歳で食肉加工を始めました。アメリカで3年間の研修を行い帰る途中、日本に立ち寄り、その1年後の1920年、アメリカの缶詰会社の誘いで函館にやって来ました。
 
レイモンは函館の旅館の娘と恋に落ちいり、当時国際結婚は日本では認められずレイモンの地元へ駆け落ちすることに。
地元でハム・ソーセージを作り暮らしますが、3年目のある日「日本に帰る」と告げます。
 
函館に戻り、店を開いたレイモンと妻コウ。だが、時はまだ大正14年。
誰もハムやソーセージを知らず、まったく売れませんでした。更に、昭和13年に工場の実質的な強制接収を受けてしまいます。
太平洋戦争中は外国人として言われなき迫害も経験しました。
 
昭和23年、レイモンは函館市元町でハム・ソーセージ作りを再開。
手作業でドイツの伝統製法を守り続ける彼のハム・ソーセージは地元で高い評価を受けるようになっていきます。1987年に93歳で死去。
彼の教えと味は弟子に受け継がれ、「カール・レイモン」のハム・ソーセージは
肉本来のおいしさを時間と手間をかけて引き出す伝統製法で今も作り続けられ
函館の味として親しまれています。