士幌線(しほろせん)

帯広市の帯広駅で根室本線から分岐し、十勝平野を北上して河東郡上士幌町の十勝三股駅までを結んでいました。
国鉄民営化直前の1987年(昭和62年)3月23日に全線が廃止されます。

帯広 – 上士幌間は、軽便鉄道法により建設された区間で、1925年(大正14年)から翌年にかけて開通。上士幌以北は、1939年(昭和14年)に十勝三股までが開通。
糠平以北は最大25‰という急勾配であるため、何らかの拍子で勾配の下りに向かって貨車が暴走する事故が幾度か発生。
最大の事故は1956年(昭和31年)7月3日、上士幌駅から下り勾配に単独で走り出した貨車が、勾配を登る列車と正面衝突したというもので、死者6名、負傷者62名に達しました。

糠平以北は、戦後もしばらく鉄道以外の交通手段がない陸の孤島でしたが、1960年(昭和35年)代後半から士幌線と並行する国道273号が整備され始め、1972年(昭和47年)には士幌線が果たし得なかった三国峠を抜けるルートにより上川町方面へ開通。
道路の開通と共に、沿線住民の多くは生活拠点を上士幌町中心部などに移すようになり、次第に糠平以北は無人地帯が続く状況となりました。