道立北海道文書館(もんじょかん)が、1960年代の半ばに民放テレビ局が制作した「新たに視聴区域となった市町村の紹介番組」のフィルムを保管していました。半世紀も前の65市町村の映像ですから、今は失われてしまった町や村の風景です。ネットに載せることはできませんので感想を含めて紹介します。

尚、このCDは現在「北海道立図書館北方資料室」にあります。
私が借りた時は「北海道立文書館」でしたが変わりました。

 

あばしり 1964年(昭和39年) 24分 白黒 音声なし         

昭和39年の網走市が映し出されています。網走市の企画とあり、24分間が今も通用する「網走観光」のフィルムといえます。音声がありませんが良く知られている観光名所がずらりと並びます。

スタートは流氷に穴をあけて「カレー釣り」から始まります。これが肉厚のカレーで良く釣れます。
網走川河口が何度も映しだされ、大漁船で市場の活気はどこの港町でも同じです。今は中々この活気はありませんが、網走もスリミの名品の産地でした。大きなスリミ工場は圧巻です。

網走は漁港の街だけではありません。
広大な農地の開墾がトラクターで拓いています。北海道の食料王国といえば十勝といいますが、これを見ると網走を中心にオホーツクも農業王国といえます。

網走市街地の映像
「商店街~国道~網走橋」→バス・バスと、昭和39年の繁栄する網走の風景が映し出されています。
戦後20年になる日本の街は、希望に満ち溢れた光景で、今となれば羨ましい限りです。

網走の観光名勝

北海道の中で網走は他とは違う特徴のある町です。

まず網走川河口にある「モヨロ博物館」です。この映像は現在の「モヨロ博物館」の前身で昭和11年の二代目と思われる貴重な映像です。オホーツク人の住居跡がそのまま写っています。
次に「網走市立郷土博物館」となります。網走を訪れた時は、この博物館からスタートすると良くわかります。
網走の街の中心地に「天都山」があり、山頂からは遠く知床半島~湯沸湖~網走湖と見渡せます。観光名勝の最たる公園で、「女満別空港」(現・大空町)からの観光バスはこの公園を目指しています。
そうして、山を下って「網走湖」~「網走温泉旅館」~「能取湖(サンゴ草群生地)」~「オホーツク水族館」~「能取岬」~網走川河口に戻って「帽子岩」。

網走刑務所がないのでおかしいと思いましたが、高倉健の「網走番外地」シリーズが始まったのは昭和40年からのことで、この撮影がされた翌年のことでした。
この映画の封切りで網走が全国区となりましたが、それ以前に「網走観光旅行」として、これだけの名勝を揃えて映像化したことは先見の明があったと思います。
また、それだけ観光の財産が残されている町であるといえるでしょう。

写真は網走市立郷土博物館です