小清水原生花園ー小清水町

評論家・戸塚文子「旅の四季」のなかの「北浜の原生花園」から

今の小清水原生花園

「北海道でも最も北海道らしい所として、私は網走から斜里に向かう海岸の原生花園をあげたい」と書いています。昭和20年代後半のことです。
写真は2019年の小清水原生花園です。

「北の海はしらじらと冷たく横たわり、その海辺にそって花園が展開されている。バラの花に似て赤く咲き乱れるハマナス、そこだけコバルト・ブルーの布を拡げたようにみえるヤチアヤメの群落、豆の花のように黄色い小花を散らすセンダイハギ、オレンジ色で六ぺんの花びらの間に、少しすき間のあるエゾスカシユリ、こうした花々が、人けのない原野に、目のとどく限り、美しい花のカーペットを敷き拡げているのである。
生き物といっては、放牧の馬の幾頭かが、所々にある潟湖のほとりに遊んでいるのと、花々の間を目立たない存在のままに、飛びかっている昆虫ばかりである。」