丹羽文雄「暁闇ぎょうあん」ー石狩市

丹羽 文雄(にわ ふみお) 1904年(明治37年) – 2005年(平成17年)
小説家。日本芸術院会員。
三重県出身。複雑な生い立ちに立脚した私小説風作品や宗教的作品、風俗小説、戦争物などを独自のリアリズムで旺盛に執筆。昭和を代表する作家の一人で、文壇の大御所的存在であり、各種文学賞の選考委員や、日本文芸家協会会長・理事長などを歴任した。

「暁闇」は1942年に大観堂書店から出版されました。昭和16年5月に来道し札幌から石狩に足を延ばした時の光景が書かれています。
石狩市を描いた小説はたくさんありますが、石狩川河口にある街をみごとに描いた紀行文的小説です。その一節を紹介します。

「石狩町は浜辺の町である。石狩川と石狩湾にはさまれて、細長くのびていた。川からの風も、海からの風も自由に吹き抜けるので、町中浜砂だらけであった。渡船場で、梶たちは向う岸の八幡町に渡ったが、すぐまた戻った。小雨が降ってきた。川の中央から石狩町を見ると、いかにも大地にはいつくばっているように見えた。色褪せた淋しい、ざらざらとした町である」

昭和10年ごろの石狩河口ですが今も大きくは変わりません。