加賀乙彦「湿原」ー風蓮湖

加賀 乙彦(かが おとひこ) 本名は小木 貞孝
1929年4月22日 –    
小説家、医学者(犯罪心理学)、精神科医。
東京府東京市芝区三田に生まれ。
オウム真理教事件において、弁護士に依頼され麻原彰晃に接見し、訴訟能力はなく治療すべきであると結論づけた

「湿原」は1986年に大佛次郎賞を受賞。大都会と湿原を舞台にした愛の物語で、根室を中心とした道東が重要な役割を果たしており、何度も北海道の自然を訪ねて、想を練ったと語っています。

野付・風蓮道立自然公園は昭和39年に指定されています。
根室湾に面して根室半島の付け根にある風蓮湖には、白鳥が飛来。
また、トドワラで知られる野付半島はシマエビが獲れる尾岱沼という景勝地です。

 

 

湿原の中から

「風蓮湖は根室の西に、東南から北西へひろがる細長い湖である。西と南はゆるやかな起伏に針葉樹をいただく根室段丘に限られ、東と北は背低の砂州におおわれ、砂州の切れ目から海へと通じている。段丘からは風連川、別当賀川をはじめ十に余る川が流れこみ、川に沿って広大な泥炭湿原を形作っている。豊富な川水は海水をうすめ汽水となって、独特の菅藻や魚群を育て、冬は一面凍結の氷原と化する。」