森と湖のまつりー阿寒湖

1958年11月26日に公開された東映映画。
原作は武田泰淳の同名小説(『世界』1955年8月-1958年5月)監督は内田吐夢。主演・高倉健、香川京子、三国連太郎他。

北海道の阿寒地方を舞台として、アイヌ青年と女流画家の葛藤を中心に滅びゆく民族の運命を描く。

小説は次の一節ではじまります。

「阿寒の湖は、陸地からの眺めは平凡で、青い水面のひろがりにすぎない。バスの発着所のあたりに立ち並ぶお土産物の店、湖にのぞむ旅館のつくりも、いかにも遊覧地向きで、古く重々しい湖水の風情にはそぐわない」

「やがて水と見分けがたい暗緑色の球がおぼろげながら、ひとつの形となって眼に入る。球形の藻は、湖底におちつきもせず、水面に浮かびあがりもしない。そしてその数はおびただしい。」

戦後最初の観光ブームは昭和30年代前半でした。阿寒国立公園が軸で、その時の大きな役割を果たしたのが「森と湖のまつり」でした。