この十勝の旅は、現在1800年代前半のころを想定して書いています。
十勝の内陸に和人が入っていくには、まだ半世紀あまり後になります。明治まであと68年。
 

「トカチ」の名称の元は「トカプ」です。「トカプ」とはアイヌ語で「乳」を意味します。
それは、この十勝平野は北海道で三番目の大河十勝川があることに由来しています。(第一位が石狩川、第二位が天塩川)

北は大雪山系、南西には北海道の背骨のように連なる日高山系などに囲まれた地形で、この山々から来る川の流れが十勝川にそそいで大河となります。
しかも、山が近いので、殆どが急流の暴れ川で氾濫を繰り返す川でした。広大な台地性の平野を流れる川が多いことが豊かな肥沃の土地を作り出していたのです。
これらの川を束ねて太平洋に出るのですが、河口が二つに分かれ、海に注いでいるのです。

二つの乳房から無限の乳汁を流していることに、喩えてアイヌが名付けたのが「トカプ」の由来でした。この川が、現在の浦幌町旅来で十勝川が二つに別れて、右がオホツナイ(大津川)の豊頃、左が十勝川となります。

写真は、豊頃町河口にある長節湖を出た太平洋で釣りをする人たちです