カスペノ岬

刀掛トンネルを抜けると雷電温泉郷の小さな集落があり、すぐにカスペトンネル(全長638m)の入り口が見えてきます。
このトンネル入口の左に「有島武郎文学碑」があります。駐車場があるので立ち寄ることができますが、刀掛トンネルを出てすぐにカスペトンネルが迫ってくるので、あらかじめ調べておかなければ見逃してしまいます。
この駐車場からカスペノ岬を見ることができます。

カスペトンネルはカスペノ岬を潜るトンネルですが、トンネル名には「ノ」が落ちています。アイヌ語が由来なのでしょうが、和名にするときに聞いた人によって違いがでたのでしょう。私の推測ですが。

有島武郎の文学碑について
有島は大正時代に活躍した小説家ですが、彼の代表作「生まれ出づる悩み」の舞台が岩内です。岩内に住む画家木田金次郎との出会いから友情にいたる私小説ですが、作中に雷電海岸の景色が書かれています。

碑に刻まれている内容が下記です。

物すさまじい朝焼けだ。過って海に落ち込んだ悪魔が、肉付きのいい右の肩だけを波の上に現はしてゐる。その肩のような雷電峠の絶顛を 撫でたり敲いたりして叢たち急ぐ嵐雲は、炉に投げ入れられた 紫のやうな光に燃えて、山懐ろの雪までも透明な藤色に染めてしまふ。

昭和37年に、雷電海岸の風光を世に広めた有島の功績を称える岩内町、観光協会、商工会の手により、カスペノ岬の中心に建立されたものでしたが、旧道化にともなって現在地に移転されました。