層雲峡そううんきょうの滝に沈んだ野盗やとう

層雲峡大函おおばこの手前に高い山がある。昔、日高の波恵はえに勢力をもっていた波恵人(ハイウンクル)が野盗になってあばれておった時のこと。

ある日、大雪山を越えて層雲峡へ下り、川下の部落を襲おうといかだをつくり、流れに乗ってくだってくると、この山のすそが川に突き出たところオペッカウシ(尻を川の上に突き出す)にくると、裸の女が乳房をブラブラさせて踊っておった。

それを見つけた野盗達は、すっかり魅せられて、筏のかじをとることも滝のあることも忘れて、滝壺たきつぼ深く落ちて死んでしまったという。
この裸婦らふは、層雲峡の女神で淫魔いんまパウチカムイである。