三郷で熊に襲われ一人殺される

明治41年、大和から三郷に通じる山道で、人が襲われ一人殺された。
一人が命からがら逃げ戻って、川南の鉄砲撃ちの遠田さんが一頭を退治した。
三頭連れの親子だったというので、後の2頭は山中をウロウロしていると警戒した。
被害にあったのは中ノ沢の杉山さん夫婦で、三郷の親類へ行く途中だった。三頭連れの一頭が突然妻の方に襲い掛かかった。何も持っていなかったので、ほとんど抵抗することもできず絶命。夫の方は腰にさげていたナタをふるって、熊の頭を何度も打ち付けた。彼もするどい爪で胸や腹部を傷つけられたが、激しく抵抗したので熊はひるんで逃げ出し、それでやっと逃げ帰った。

中ノ沢の人たちは、遠田さんを呼びに行き、到着を待って山の中に入り、ボロボロに食いちぎられた奥さんの遺体を持ち帰り、埋葬をした。
遠田さん兄弟はその夜、射止めた熊の皮をはぎ、肉は集まった中ノ沢の人たちに大盤振る舞いで分け与えた。

明治41年の北海道における熊による死者は14名、負傷者12名。これに次ぐ数字は明治39年の死者3、負傷者10名ですから倍の恐ろしい年だった。人間ばかりでなく、家畜も、収穫前の作物も大きな被害を受けた。馬の死は243、牛34、羊10、綿羊10、豚10。

 写真は苫前町で起きた日本最大の野生動物事件ー三毛別羆事件です