幾寅駅は「鉄道員(ぽっぽや)」の幌舞駅
幾寅駅は「鉄道員(ぽっぽや)」の幌舞線終着駅・幌舞駅(架空)で知られることとなりました。
1999年に高倉健主演で映画化されたのですが、当時のロケ現場がそのまま観光施設として残されてます。
推測ではありますが、この小説は根室本線の富良野駅から幾寅駅までを設定して書かれたのではないかと思います。
平成28年(2016)8月に北海道を襲った台風10号は、この幾寅地区に水害をもたらしました。南富良野町は6つの集落があるのですが、町役場は幾寅地区にあります。
幾寅駅は明治35年に十勝線の駅として開業しました。
明治40年に狩勝峠の開通に伴い、峠近くに「落合駅」が出来て、ようやく道央と十勝・釧路・北見が繋がりました。(右の写真は狩勝峠です)
狩勝峠の山の斜面を源とする「空知川」に沿って、国道38号線が開削され、並行して根室本線の鉄道が敷かれました。
空知川は、石狩川支流の中で最も長く、川の名の由来はアイヌ語で「滝が幾重にもかかる川」を意味する「ソー・ラプチ・ペツ」です。
四万十川に匹敵し、大雨の際には洪水をひきおこし下流の富良野平野は度重なる被害を受けていました。延長約200キロ先は新十津川町で石狩川と合流するのですが、手前の「滝川市」は川の名の由来から付けたものです。
このような経緯から国道38号線と根室本線の起点は滝川市となり、上流に向けて赤平市・芦別市・富良野市・南富良野町と繋がっていきます。
幾寅駅
富良野市を過ぎると山岳地帯に入っていきます。
富良野市は「北の国」で知られていますが南富良野は全く別格。
ラベンダーは上富良野・中富良野で旭川からの富良野線になります。
山を上がり一旦平地に入ったところが幾寅地区で、空知川を渡ると「道の駅南ふらの」が見え、なだらかな斜面を突き当った高台に「幾寅駅」があります。(写真が駅です)
堤防が炸裂したのは、地区の上流のため一溜まりもありませんでした。
空知川水源の標高2000mに金山ダムが作られたのは1967年(昭和42年)。
集落261世帯・300戸を水没させる大掛かりな建設で、当時としては珍しい特定多目的ダムでした。総貯水容量は全道民の生活用水を三か月分賄える量に匹敵すると言われています。
しかし、この金山ダムは幾寅地区を迂回する空知川の下流になります。
それだけ幾寅地区は山岳地で、「落合」地区を源流として抜ける両岸は100~150メートルの断崖になっており、道内でも名高いラフティング(ゴムボートの川下り)として人気エリアです。
かなやま湖
金山ダムに作られた「かなやま湖」は、リゾート基地として人気の場所で神奈川県の宮ケ瀬ダム・岩手の御所ダムに次いで、利用者が多いダム湖です。
キャンプが出来る施設が整っており、テント1万張りが可能です。7月末には毎年大イベントが開かれ、花火大会やカヌーが湖に浮かびます。冬には、犬ぞりツアー・スノーシューハイクなどもあります。
上流の落合地区は倉本聰「北の国から」の元ネタとなったと思える「どろんこ野外学校」があります。
水道が無い、電気が無い、沢から水を引き、風車で電気を起こし、石で家を作るなどの世界が体験できます。
料理研究家で知られる星澤幸子のふるさとでもあり、集落には飲食店や居酒屋・スナックがありますし、落合地区の森林を入ると知る人ぞ知る伝説の「蕎麦屋」があります。