’96年『凍える牙』で第115回直木賞を受賞した乃南アサの単行本「チーム・オベリベリ」が今発売になっています。
これは渡辺カネを通して晩成社を書いた小説です。開拓で入植してから5年間くらいのリアルフェクションです。
連載24「バッタの大群」
10月には鈴木親長・カネ・弟の文三郎が入地しますが、逃亡して伊豆に戻った者の噂で第二弾の応募者はありませんでした。
このカネが、渡辺カネです。
詳しくは北海道ゆかりの人たちに書きますが、簡単にいいますと渡辺カネは、晩成社幹部鈴木銃太郎の妹で、同じく晩成社幹部の一人渡辺勝と結婚し開拓に入った女性です。
晩成社には3人の幹部(依田勉三・鈴木銃太郎・渡辺勝)がおりますが、カネが幹部3人のことを冷静に見ていました。それが小説になっています。
晩成社は明治19年に解散しますが、渡辺カネがいなければ空中分解していたかもしれません。
私はイギリスの女性探検家が、カネを訪れた時のことを読んだ記憶があります。
掘っ立て小屋のような建物の中で、毅然とした態度で英語で応対してくれたことに驚いたと記していました。