「十勝日誌 」
探検家松浦武四郎の十勝紀行文は「十勝日誌」として1860年(万延元年)に書き上げました。
現代文の訳で出版されているのもあるので読みやすくなっています。
一日の日記として寒地と越冬を克明に記録し、山や川を見事に描写しています。寒さの中で、よく描いたものだと感心します。
「この広い平野の低地は谷地で、丘陵地帯は深い森林に覆われ、その間を複雑に入り組んで川が流れ、その川筋は自然の交通路となっていた。
山野には鹿をはじめとする多くの獣が、川には溢れるばかりに鮭や鱒が上る。」
武四郎の訪れた頃の十勝の国は、ほぼこのような所でした。
(今でも十勝の中心地に鮭の遡上が観光名称となっています)
豊かな土地なので、他の地区と比べるとアイヌ人口も多く、安政3年(1856)の調べでは、190戸、1209人と記されています。
余談ではありますが、1860(万延元)年とは帯広の六花亭の前身である「千秋庵総本家」が箱館(函館)に開業した年でもあります。
六花亭に「十勝日誌」のお菓子の詰め合わせがありますが、これは松浦武四郎の紀行文の表紙からイメージしたものです。