道立北海道文書館(もんじょかん)が、1960年代の半ばに民放テレビ局が制作した「新たに視聴区域となった市町村の紹介番組」のフィルムを保管していました。半世紀も前の65市町村の映像ですから、今は失われてしまった町や村の風景です。ネットに載せることはできませんので感想を含めて紹介します。

北見 1964年(昭和39年) 28分 白黒 音声なし  

北見市は、オホーツク総合振興局管内にある市です。平成18年3月5日、北見市、端野町、常呂町、留辺蘂町が合併し、新たに「北見市」となりました。
道央圏の石北峠(留辺蘂町)からオホーツク海沿岸(常呂町)まで東西約110kmがひとつの町で繋がりました。この面積は北海道ではもちろん一番で、日本では高山市、浜松市、日光市に続く4番目の広さになります。しかし、面積が広大なため人口密度は低くなります。

この映像は昭和39年のものなので、北見の歴史にはふれず現況を紹介しています。また、音声がないため28分を映像だけで理解するには無理がありました。
当時を知る人が見ると懐かしい風景がいたるところにでてくると思われます。
歴史に触れていないのは、北見市が設立されるまでの近隣町村の歴史と深い関係があるためと思われます。
北見市のはじまりは、明治16年常呂村に常呂外六ケ村戸長役場が置かれました。明治19年、囚徒を使役して、網走~上川間の「北見道路」を明治24年完成し、各所に駅逓が置かれ内陸部の開拓は飛躍的に進みます。
明治28年、常呂村に高知県の土佐団体が入地したのが草分けで、明治31年には岐阜団体が入地。そうして、明治30年と翌年に上・中・下野付牛村に計397戸の屯田兵が入地。更に、屯田歩兵第4大隊第1中隊が入地した端野村は、大正10年に野付牛町から独立といったように、市の歴史は人の入植と村々の独立とが複雑にかかわっていたからではないかと思います。

映像は昭和39年の北見市の市街地の風景からはじまります。
大きな噴水や池のある公園を中心に街を紹介しています。この公園はどこなのかが当時を知る人でなければ分からないのではないかと思います。
おそらく、現在でいえば、池のある常盤公園、ボートが浮かぶのは野付牛公園、噴水があるのは小公園ではないかと推察します。池ではボートが何台も浮かび、楽しい行楽のひと時が映されています。市民の憩いの場なのです。

国立北見工業短期大学が看板だけですが映像が映されました
この短期大学は昭和35年に開設されました。学生の募集は昭和40年で打ち切り、昭和42年に廃止され、以後北見工業大学になっています。昭和39年の紹介ですから、北見に大学があることを示したかったのではと思われます。

北見赤十字病院―北見会館―北見農協ビルー農協デパート(店内の売り場)と映像は流れます。

産業紹介
畑作⇒トラクターによる苗植え作業 水田⇒カルチペーターによる畑起し 酪農⇒牛舎での乳しぼり

北見薄荷工場⇒明治35年にハッカが導入され、大正末にはハッカ景気にわきました。昭和10年代には当時の世界総生産の70%を占めました。昭和39年の映像ですから、まだ薄荷は北見の代表的な産業だったのでしょう。
畑から刈り入れした原料を工場に運び込み、粗脳結品室で製品なる一連の工程が映像で追いかけています。これは今では見ることができない風景でしょう。
北見の薄荷は、人工ハッカの台頭で減少し昭和58年にハッカの歴史に幕を閉じました。

松下(ナショナル)北見工場⇒松下が北見に進出してベニヤや合板の製材工場を運営しています。木工研修所における作業員が映されており、木材の加工風景や部品の組み立てを行っています。

太平洋レミコン㈱北見工場⇒生コン工場の作業風景です。ミキサーに生コンが投入され、車は工場を出発し工事現場に到着しホースで生コンを投入する映像です。今では見慣れた景色ですが、半世紀前ですから珍しかったのではと思います。

市街地に戻り、車やバイクが道を走るのですが「交差点」がありません。当然、横断歩道もありません。
ようやく、信号機のある交差点がある場所に来ました。ここが街の中心地なのでしょう。「いとう」「ナショナル」の看板が見えます。
また、大きな公園のある場所に来ました。池ではボートが、ゴザを敷いて団らんのひと時です。
大型トラクター数台で原野を切り拓き、地ならしをしています。野球場を作っているのでしょう。

この映像から57年が経ちました。
私は北見を訪れたことはありますが、それほど詳しくありません。
しかし、半世紀が経ち大きく変わっていると感じました。それを最も感じるのは、大手企業の北見工場は現在どのようになっているのかです。
また、撤退しているとすれば、それに代わる企業進出はあるのでしょうか。
57年前の映像を見る限り、北見の町は成長している頼もしい町に映りました。

                               以上